どんな台詞でもすらすらと読む、声優の滑舌に憧れたことはありませんか。
特別なトレーニングが必要なイメージがありますが、実は個人でもできるトレーニングもあります。
今回はそうした簡単にできて、本格的な力がつくトレーニングを紹介します。
しかし、個人で行うトレーニングでは変な癖がついてしまうこともあるので、少し注意しましょう。
確実な力を身に付けたい方は、日ナレの愛称で親しまれる日本ナレーション演技研究所など、大手の養成所に通うこともおすすめです。
目次
「滑舌」で一括りにしない!プロは3つの原因に着目
「滑舌」といっても、何から鍛えれば良いのか分からない、そもそも滑舌の悪さは何が原因なのか分からない、という方もいらっしゃると思いますが、「滑舌」は主に3つの要素から成り立っています。
1.歯並び
まず1つ目は、歯並びです。下を動かすのに、歯並びは関係ないように思えるかもしれませんが、歯並びが悪いと下を動かすのに支障が出たり、発音しづらい音があったりします。
2.舌の筋肉
そして、2つ目は舌の筋肉です。早く話さなければいけないときはもちろん、舌の筋肉があるだけで発音しやすくなる音はたくさんあります。
3.表情筋
最後に3つ目は、表情筋です。これも一見、滑舌とは関係がないように思われるかもしれませんが、人間は話すとき、気づかないうちに表情筋をたくさん使っています。表情筋が硬いと、口元の筋肉も動かしづらく、結果的に滑舌が悪くなってしまいます。
人気声優は滑舌の為に生活習慣も大事にしている
舌の筋肉や口周りの筋肉は、普段の生活の中でも鍛えることができ、努力次第で改善できるものです。
まず、口周りの筋肉を鍛えるためのおすすめのトレーニングは、「子音をしっかり立てて発音すること」です。
これなら、普段人と話しているときに意識できますし、唇をしっかり動かすことができます。
次に、舌の筋肉を鍛えるためのトレーニングは、「口内で舌を正常な位置に保つこと」です。
みなさんは、舌の正常な位置を知っていますか。
前歯の後ろあたりに置くのが正常なのですが、滑舌が悪い人はこの位置に下を置いていないことが多いです。
癖になってしまっている方も多いので、生活習慣を見直してみましょう。
網羅的に舌と表情を鍛え、生活習慣もトレーニングにしよう
このように「滑舌」には、歯並び、舌の筋肉、表情筋が重要になります。
しかし、それらのうち、努力次第で改善されるものがほとんどです。
しかも、普段の生活の中で少し意識するだけで変えられるものなので、悪い癖がつかないように日頃から自分の舌や口元の動きに注意しましょう。
本格的なトレーニングもたくさんありますので、そうしたトレーニングを行うことでより一層効果が高まることも期待されます。
早口言葉の前に。舌の筋肉と表情筋にアプローチ
「滑舌」のトレーニングというと、まず早口言葉を思い浮かべる方も多いと思いますが、早口言葉をする前に舌の筋肉と表情筋を柔らかくすることが大切になります。
下記ではそのさまざまなトレーニング方法を網羅していますので、ぜひひとつひとつ試して、自分に合ったトレーニング方法を見つけてみてください。
舌の筋肉を柔らかくしよう
まず最初に行っていただきたいことは、「自分の苦手な行を研究すること」です。
ただ闇雲に練習しても効果は出ません。
行によって必要なトレーニングの種類は変わりますから、録音などでまずは自分の弱点を見つけましょう。
そして、舌の筋肉を鍛えることに移ります。舌の筋肉が柔らかい人は滑舌が良い傾向があります。
体の筋肉と同様に、舌の筋肉も柔らかくすることで動きやすくなります。
舌の筋肉を柔らかくするトレーニング
- 舌を出し入れする
- 舌を口の外に出して、ぐるぐると回す
こうしたトレーニングは回数を重ねるごとに、続けば続くほど、鍛えられていくものです。
すぐに効果を出すことは難しいかもしれませんが、日常の中でこうしたトレーニングを続けて、舌を柔らかくしましょう。
表情筋は演技力にもつながる
表情を表に出さない声優でも、表情筋を鍛えることは演技力を上げることにも十分につながります。
なぜなら表情筋を鍛えて口元の筋肉をつけることで、滑舌が良くなり、台詞や演技の幅が広がることにつながるからです。
大切な表情筋を鍛えるトレーニング
- 口先を尖らしてから、ゆっくりと戻す
- 口角を両側に引き上げてから、笑顔を作り、ゆっくりと戻す
- 口を「う」、「い」の形に交互にする
- 口を「ま」、「い」、「う」の形にそれぞれ動かす
- 口を「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」の形に1つずつそれぞれ5秒間保って動かす
どれもゆっくりと口を動かすことが大切ですので、焦らずひとつひとつ丁寧に行いましょう。
ボイストレーニングでも鍛えられる
「ボイトレ」というと、歌を学ぶ人のためだけのトレーニングだと考える方もいますが、実は歌も、声優に必要な発声や滑舌と鍛えなければいけないところは同じです。
体幹や横隔膜といった全身の筋肉はもちろん、滑舌に必要な口周りや舌の筋肉も歌と同様の方法で、鍛えることができます。
ボイトレに行くことで、専門家から効果的なトレーニング方法を学ぶこともできますし、歌に必要な筋肉、表現力、肺活量など、声優が大事にすべきポイントを鍛えることができます。
スクール・レッスン総合検索サイト「ケイコとマナブ.net」 から、自分に合ったレッスンを探し、手軽な習い事として効果的なボイトレに通うこともできますので、おすすめです。
早口言葉で50音をちゃんと鍛えよう。
母音(あ~お)、子音(か~わ)、濁音・半濁音(がざだばぱ)を鍛えられる早口言葉を、それぞれ2つずつ用意しました。
上側が易しく、下側が難しいので、まずはそれぞれ上側に挑戦し自分の苦手な部分がどこかを探してみてください!
また、上側が余裕だ!という人は下側にもチャレンジしてみてください!
あ音
- 油アルバム (あぶらあるばむ)
- 炙りカルビ (あぶりかるび)
い音
- 右目右耳、右耳右目 (みぎめみぎみみ、みぎみみみぎめ)
- シチュー死守×10 (しちゅーししゅ)
う音
- 不幸な夫婦は古い服 (ふこうなふうふはふるいふく)
- 中小商工業 振興会議 (ちゅうしょうしょうこうぎょう しんこうかいぎ)
え音
- 蝦夷で暮らすも一生 江戸で暮らすも一生 (えぞでくらすもいっしょう えどでくらすもいっしょう)
- 赤アロエ飴 青アロエ飴 黄アロエ飴 (あかあろえあめ あおあろえあめ きあろえあめ)
お音
- 国語熟語述語主語 (こくごじゅくごじゅつごしゅご)
- 老いては負うた子に教えられ (おいてはおうたこにおしえられ)
か行
- 隣の客はよく柿食う客だ (となりのきゃくはよくかきくうきゃくだ)
- 肩叩き機 (かたたたきき)
さ行
- この寿司は少し酢がききすぎた (このすしはすこしすがききすぎた)
- 新設診察室視察 (しんせつしんさつしつしさつ)
た行
- 第1著者 第2著者 第3著者 (だいいちちょちしゃ だいにちょしゃ だいさんちょしゃ)
- 茶たばこのんで たばこ茶のむ 茶たばこ たばこ茶 茶たばこのむ (ちゃたばこのんで たばこちゃのむ ちゃたばこ たばこちゃ ちゃたばこのむ)
な行
- 生麦生米生卵 (なまむぎなまごめなまたまご)
- 老若男女×10 (ろうにゃくなんにょ)
は行
- 派出所で手術中 (はしゅつじょでしゅじゅつちゅう)
- 消費支出費 非消費支出費 (しょつひししゅつひ ひしょうひししゅつひ)
ま行
- マグロ大使のママ (まぐろたいしのまま)
- 馬屋前の 濡れ生麦わら (うまやまえの ぬれなまむぎわら)
や行
- 調査書捜査中 (ちょうさしょそうさちゅう)
- 輸出車 輸出湯 輸出酢 (ゆしゅつしゃ ゆしゅつゆ ゆしゅつす)
ら行
- 菊栗菊栗三菊栗、合わせて菊栗六菊栗。 (きくくりきくくりさんきくくり あわせてきくくりろくきくくり)
- ラバかロバかロバかラバか分からないので、ラバとロバを比べたらロバかラバか分からなかった (らばかろばかろばからばかわからないので らばとろばをくらべたら ろばからばかわからなかった)
わ行
- 私はあなたに、哀れまれたくないのだ (わたしはあなたにあわれまれたくないのだ)
- 飯島石七郎の言い分に、偽りがある (いいじまいちしちろうのいいぶんに いつわりがある)
が行
- 議論好きの議員が議事堂にぎっしり (ぎろんずきのぎいんがぎじどうにぎっしり)
- 右耳に ミニニキビ (みぎみみに みににきび)
ざ行
- 魔術師 魔術修行中 (まじゅつしましゅつしゅぎょうちゅう)
- 美術室 技術室 手術室 美術準備室 技術準備室 手術準備室 (びじゅつしつ きじゅつしつ しゅじゅつしつ びしゅつしゅんびしつ ぎじゅつじゅんびしつ しゅじゅつしゅんびしつ)
だ行
- バナナの謎はまだ謎なのだぞ (ばななのなぞはまだなぞなのだぞ)
- 暴走車掌 車窓清掃 修行中 (ぼうそうしゃしょう しゃそうせいしょう しゅぎょうちゅう)
ば行
- よぼよぼ病 (よぼよぼびょう)
- 狂牛病ブーム (きょうぎゅうびょうぶーむ)
ぱ行
- パジェロ全車種に、標準装備 (ばじぇろぜんしゃしゅに、ひょうじゅんそうび)
- きゃりーぱみゅぱみゅ×10 (きゃりーぱみゅぱみゅ)
妄想が滑舌改善に!生活習慣を使ったトレーニング。
イメージをすることは、様々なことを習得するときに大切になりますが、滑舌を良くするときにも同じです。
すらすらとセリフを言う自分をイメージ、妄想することが大切です。
頭ではっきりイメージできていることの方が、実際に言葉にしやすいので、言葉を話す前に、その言葉をイメージするようにしましょう。
この妄想は、生活習慣の中で取り入れられるものです。
普段友人と話すときなどにも、少し意識するだけでずいぶん口を動かしやすくなる方も多いでしょう。
何気ない普段の生活からすらすら話せる自分を「妄想」してみましょう。
最終的にはちゃんとしたところでの訓練が必要
このように、個人でもトレーニングできることはたくさんありますが、最終的には養成所などでプロに教わることが大切です。
現時点では事情があって通えない方でも、声優を目指す上で技術やコネといった面でも、養成所に通うことは必然と言えます。
今は通えなくても、日ナレなど無料で資料を得られるところもあるので、早い段階から資料や情報を集めておくことが、将来の進路をスムーズに進める鍵になるでしょう。